フェアスタート実績

●人生のターニングポイントには、いつも支え、見守ってくれる人がいた

 

 

 

 

 

田山哲生さん

取材・文・写真=矢嶋桃子

現在、横浜にある建設会社で施工管理というセクションに就く田山さん。

運送業での挫折、アルバイト生活、人との出会い、転職、結婚、仕事に対する考えなど、今に至るまでの出来事や思いを語っていただきました。

※施工管理とは

建築工事の施工計画を立てたり、現場でのスケジュールや品質、安全などを管理する仕事。現場監督者。資格としては、建築施工管理技士という国家資格があり、安全面や予算面における深い知識と判断力の証となるため、取得を目指す人は多い。

 

―今回、エールの若者インタビューでは初めての既婚者です!よろしくお願いします。

よろしくお願いします(笑)

―田山さんは今の会社は、転職なんですよね?

そうです。ちょうど2年ほど前にフェアスタートの紹介で正社員として採用されました。仕事の内容は施工管理といって、建築現場の現場監督です。大工さんや職人さんの手配や材料の管理のほか、引き渡し近くには、クロス屋さんやクリーニング屋さんなど内装関係の職人さんも入ってくるので、スケジュールの管理や段取りをして、現場がスムーズに進むように調整します。

うちは注文住宅が多いので、一棟丸ごと受注するんですが、ぼくはまだ一人ですべてをこなすには経験が足りないので上司についてやっています。

―以前はどんな仕事を?

高校卒業後に運送業の会社に就職しました。早朝から夜中まで、忙しいと休みも取れない仕事で、給料はよかったけれど、とにかくきつくてやりがいも見いだせず、1年半勤めて辞めました。その後はアルバイトをかけもちしたりしていました。

 

転職活動の厳しい現実

―フェアスタートにはどこで出会ったのですか?

以前にいた児童養護施設の職員さんと、施設を出た後も、趣味の野球観戦などでたまに会って近況報告をしていたんですよ。そこから施設のワーカーさんに話がいったのかな。フェアスタートの永岡さんを紹介されました。いくつか仕事の候補がある中で、ワーカーさんにも相談しながらいまの会社に決めました。これまで中途半端に仕事をしてきているので、やるからには何か得られるような仕事をしたいなと思って。

―中途半端と言いましたが、そういう思いがあるんですね。

ありますね。この会社でやっていこうと決めて高校を出たのに、結局1年半しかもたなかったので。それに、運送の会社を辞めてからの就職活動は、やっぱり大変でした。ハローワークで「社員募集」という求人を見て履歴書を書いて応募しても、「どうして1年半で辞めたの?」と必ず聞かれます。同じような運送会社も受けてみましたがいい返事はもらえずバイトに明け暮れて。アルバイトは、得るものというより、お金のためとわりきっていましたが、永岡さんに会った頃はちょうど、そんなパンパンな生活をしている自分が嫌になっていた時期でもありました。

 

施設と夜間高校時代

―施設から高校に通ったのですか?

中学3年生の初めから高校1年生の夏まで、家庭の事情で施設で暮らしていました。中学は悩んでいた時期で学校にも行けなくて。それでも高校には行きたいと施設職員さんに相談したら、施設内学級みたいなものでの授業を受けさせてくれたんです。それで何とか、夜間高校を受験して入りました。夜間高校は4年間通うのですが、その頃は施設を出て自宅に戻っていたので、生活も苦しかった。アルバイトをかけもちしながら学校に通う日々でした。

―よく卒業まで行き着きましたね。

結構それはいろんな人から評価してもらうんですよ。まわりの友だちはほとんど中退しちゃいましたから。みんなが辞めちゃうと、自分もなんとなく高校に行かなくてもいいんじゃないかと気持ちが揺らぎます。辞めた友だちからの誘いで遊びに行っちゃうこともあったし。でも、出席はギリギリでしたけどなんとか卒業しました。そのつど友だちができたというのも大きかったと思います。

―アルバイトはどんなものを?

コンビニやデリバリー、新聞配達などです。コンビニやって、学校行って、学校が終わったら新聞配達してと……忙しかったですね。新聞は夜中の1時ぐらいから折込みを入れる作業があって、配達が終わるのが5時ぐらい。それが毎日ですからね。でも高校に行っている間にどうしても車の免許を取りたかったので頑張りました。

一番長く続いたのはコンビニで、3年ほどやりました。オーナーがとてもいい人で、疲れて接客態度が悪くなり、クビになりかけたときもフォローしてくれたりして。もう一度頑張らなきゃって思いました。必要だと思ってもらうことの嬉しさはありましたね。その方がいたから続けられたんだと思います。実は最初の運送の会社を辞めた後、なかなか仕事が決まらず困っていたときも雇ってくれたんです。

これから若くして社会に出る人たちに伝えたいこと

結局、自分がいままでやってこられているのは、自分でやる気を出しているからだと思います。どんなときもやる気が大事。きっと、永岡さんもコンビニのオーナーも、そういう自分を買ってくれたのだと思います。施設のワーカーさんにしても、人生のターニングポイントで、影響を受ける人に会うというのは、自分が持っている人徳なのかな(笑)

思った以上に仕事って厳しい。自分も正直、社会に対して甘く考えていたところはあります。なんとかなっちゃうだろうって。でもやっぱり自分は完璧じゃないんです。いま考えれば、人間的に間違っていることや、考え方の土台は、社会に出て教わりました。高校入ってすぐ働いて、怒られて、嫌な思いもしながら、でも生きていかなきゃならない環境で得たものは大きい。大学に行っていまから社会人になる人との差があるとしたら、そこだと思います。

 

※この他結婚の話や今の仕事の話など、全文は賛助会員会報誌「エール」に掲載しています。